近年になって、外為証拠金取引(FX)が個人投資家の間にも広がってきたといえども、外為取引は株取引などに比べるとまだまだ歴史の浅い投資対象です。
そもそも1998年の改正外為法の施行により、個人が銀行以外の外為取引業者等を通じて外為取引が可能になったばかりであり、外為証拠金取引の歴史は10年も経っていないわけです。
1998年以降、個人も銀行以外の外為業者と取引ができるようになりましたが、同時に詐欺まがいの外為取引業者も現れ、実際に個人投資家が被害に会う事件も発生しました。このため、2005年7月から投資家の保護を目的とした「改正金融先物法」が施行されました。
この改正金融先物法では、外為取引業者を従来の許可制から金融庁の登録制にし、最低資本金や自己資本規制比率を定め、営業、管理体制などへの規制も決められています。
これにより、悪徳業者や資本基盤の脆弱な外為取引業者の参入が難しくなり、外為取引業者は”2005年7月1日施行の金融先物取引法に基づく金融先物取引業者としての登録”をWebサイト等で告知していると思います。
自分が口座開設をする業者が金融庁に登録されているのは必須条件として、もう一つ自分の資産を守るために注意すべき点があります。それは、外為取引業者の信用リスクに伴う「信託保全スキーム」です。
この信託保全スキームを簡単に言うと、自分の取引している外為業者が万が一倒産・破綻などをした時に、自分の預けている資産がどのようなスキームで保全されているか、ということです。
先程の2005年7月施行の改正金融先物法で、外為取引業者に顧客資産の分別管理は義務付けられたものの、残念ながら現状、信託保全は必須ではありません。
この信託保全とは、外為取引業者が信託銀行等に顧客資産を預けることによって、万が一外為取引業者が破綻した時でも、顧客の資産が保証されるスキームのことを言います。
(外貨預金の場合も、預けている銀行が破綻した場合、ペイオフの対象ではないので、資産が返ってこないのと基本的に同じようなものです)
自分が取引する外為取引業者は、出来る限り信託保全スキームを準備しているところの方が安心ですが、更に言いますと、"信託銀行などの信託先"、"信託される範囲・タイミング"、"信託される通貨(円のみで米ドル等の外貨は信託されない)"など、外為取引業者によって信託保全スキームの内容はさまざまです。
もちろん、リスクを背負わなければ、リターンを得ることもできない訳ですが、自分の資産を預ける先ですから、利用する外為取引業者に信託保全スキームがある方が良いに決まってますし、スキームの詳細内容も含めて納得するまで調べることをお勧めします。
いづれにしても、一つの外為取引業者に自分の個人資産の大半を預けておくということは避けるべきで、外為取引業者の信用リスク分散のためにも、複数の取引業者に資産を分けて運用するということが必要です。
蛇足かもしれませんが、信託保全スキームが無い外為取引業者でも、無い分だけ、ハイレバレッジを提供しているなど、サービスを充実させている外為取引業者もあります。
もし、その外為取引業者が潰れて、資産が返って来なかったとしても問題の無い程度の資金を入れ、ハイレバレッジで外為取引をするというのも一つの手ですし、口座開設だけして提供される外為情報だけをゲットするというのも一つの手です。
資産運用の基本である「リスク分散」は、外為取引業者の選定時にも当てはまります。