IMM通貨先物(International Monetary Market)
IMM(International Monetary Market)とは、直訳すれば国際通貨市場であり、シカゴマーカンタイル取引所(CME:Chicago Mercantile Exchange)にある通貨先物取引市場の一部門を指します。
一方、CFTC(Commodity Futures Trading Commission:全米先物取引委員会)は、先物商品の未決済ポジション・データの公表を取引所に義務付けています。
シカゴ筋と呼ばれる米国の短期投機筋が利用するシカゴマーカンタイル市場(CME)でも、このCFTCの指示に従って、通貨先物の未決済ポジションを公表しています。
IMM通貨先物の未決済ポジションは、毎週火曜日の取引終了後にシカゴマーカンタイル市場(CME)がCFTCにデータを提出し、CFTCは集計した後、その週の金曜日の取引終了後(EST:米国東部時間15:30、日本時間だと土曜日の午前5:30)にCFTCのWebサイト上に集計レポートを公表します。
IMMには、JPYを始め、EUR、GBP、CHF、AUDなどが上場されており、これらの建て玉の推移を見ることができます。
通常、IMM通貨先物で注目されるのは、現物の受け渡しを必要としないNon-Commercial(投機筋)の買い建玉(ロングポジション)と売り建玉(ショートポジション)の枚数の変化です。
IMM通貨先物のデータで着目すべきポイントとしては、前週と比較して「買い建玉と売り建玉がどれだけ(何枚)増えたか/減ったか」という点と、「現在、積み上がっている未決済ポジション量がどのくらい(何枚)あるか」という点です。
例えば、前週と比べて、EURの買い建玉が増えた時には、EURのレートも上昇しているでしょうし、増えた枚数が大きければ大きいほど、高く上昇していると思います。(但し、週1回の火曜日時点でのデータなので、公表される金曜日のレートとのズレはあります)
前週との未決済ポジション量の「偏り」や「変化」は、為替レートとの相関性が高いため、IMM通貨先物は「外為市場の縮図」とも呼ばれています。
データの一般的な見方ですが、IMM通貨先物のポジションが異常な偏りを見せている場合(例えば、ロングポジションが何万枚と積み上がっている時)には、ポジションを手仕舞い始めたら一気に相場が反転するリスク(ロングポジションの解消で一気に下落するリスク)が高まってきていることを示します。
しかしながら、いつからポジション解消が始まるのかは、誰にも分かりません。このため「これだけ大量にIMM通貨先物のポジションが積み上がっているから、もうそろそろ反転するだろう」と思っていても、数週間、数ヶ月に渡って、一方的なポジションの偏りが解消されないことが普通にあります。
※IMM通貨先物に大きなポジションの偏りがあるからといって、反対のポジションを構築してしまって、数週間、数ヶ月に渡って、完全にトレンドに逆らってしまわないように注意しましょうということです。
また、IMM通貨先物のデータは、投機筋の動向を把握するために使われたりもしますが、大口の取引をするヘッジファンドなどは、CFTCにデータを公表されることを嫌って、シカゴマーカンタイル取引所(CME)を敢えて使わないケースもあるので、このIMM通貨先物がシカゴ投機筋の動向をそのまま表しているとは言い切れません。
しかしながら、外為相場の方向性を確認する上で、IMM通貨先物のデータは十分に有益なデータです。
IMM通貨先物のデータはロイターを始め、外為取引業者各社が公表していますので、週末には「木を見て、森を見ず」にならないためにも、IMM通貨先物のデータを見て、トレンド把握に努めることは非常に有効だと思います。
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